ちいちゃんの昔話

秋の高原

 
秋、すみきった青空が頭上にかぎりなく広がり、
 
おもわず、わが胸に抱えてみたいと思う。
 
手をのばしてみたが、抱えきれなく、
 
ためいきと共に自分の方が空にすいこまれてしまった。
 
空から足元に目をおとせば、高原の岩場に名前も分からぬ花。
 
青、赤 黄と色とりどりの小花がかれんに咲きみだれている。
 
耳をすませば、わずかな風にもかかわらず、
 
花や葉がゆれていることにより、さわさわと音をたてて、月が流れてゆく。
 
自然につつまれて、時をわすれ、
 
景色をひとりじめにして時のたつこともわすれていた。
 
この景色をひとりじめ出来る喜びと、
 
その反面、一人しかいない寂しさがおそってくる。
 
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小柴 千鶴

えがお株式会社代表取締役、NPO法人夢ハウス理事長。 27歳のとき進行性筋ジストロフィー発症との診断を受ける。 さまざまな困難を乗り越えながら「ITであれば障害者でも仕事ができる」と思いたち「小規模作業所夢ハウス」をスタート。

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