ちいちゃんの昔話

やみつきになりそう・・・

今年の夏、何故か外出も少なくて、気持ちも沈んでいるときに、
 
講座の案内を見つけ、二、三項目が目にとまった。
 
どうしても聞いてみたい、聞きたいという衝動にかられ、
 
電話で申し込んでおいた。
 
講座の当日までに間があり、
 
どのように準備すれば一人で講座が受けることができるか、
 
自分で考えてみたのです。
 
まず、外出は夕方5時から8時まで、
 
出かけるときは夕方4時から5時までヘルパーさんが来てくださる時間帯だから、
 
食事、トイレ介助して頂き、外出の準備も手伝って頂き家を5時に出発。
 
福祉タクシーで本通りまで10分、講座の時間までに40分程待ち時間があるので、
 
レコード店でCDを探してもよしと考えた。
 
当日になり、外出となれば数少ない洋服の中から着物を決める。
 
心もうきうきして楽しくなり、一人で出かけることも苦もなく思えた。
 
まず、レコード店で宗次郎(光)のCDを買う、
 
店員の方も三度目で顔を覚えてくださり、
 
(車イスに乗っているだけで、充分覚えてもらえ易いことは利点)、
 
支払いもお店の方がカバンの中から財布を取り出して精算を済ませる。
 
(初め人に私の財布の中身をみられることも、
 
ましてや、触られるのも戸惑いもありましたが、
 
今では財布全部預けても、なんともなくなった。これも慣れでしょう。)
 
しかし、お店の方も戸惑いの顔をされますが、
 
私が「大丈夫ですから、カバンの中に財布がありますから
 
抜き取ってください、よろしく。」と言う。
 
すると大方の人は恐る恐る
 
「失礼します。」とカバンの中に手を伸ばされますが、
 
実際、人のものに手を出す、ましてやお金であれば戸惑って当り前です。
 
相手の方は少し迷った様子で「いいですか」と聞かれるが、
 
私も「はい、私は出せませんからカバンの中に財布がありますから、よろしく」
 
というわけです。
 
普通、私が障害を持たず元気なときであれば
 
「これください」「ありがとうございました」
 
で終り、何も考えることも無く、
 
不思議には思わない会話で終わります。
 
しかし、財布を全部預けて前にも書いたように同じ3000円を払うにしても、
 
相手に任すと、受け取ってくださる店の方が恐縮されるのです。
 
何故でしょうね・・・
 
講座の会場に入って行くにも、障害者一人であれば、
 
皆さんも声をかけてくださり、自分で不安を覚えるほど、不自由はなく、
 
不都合なことも大半は解決できることで外出ができた。
 
重度障害者の外出も不可能でなく、
 
より多くの人と知り合う機会であり、
 
偶然の出会いの楽しみを覚えてしまった。
 
これはやみつきになりそう・・・
 
昨年、横浜の細井道子さんが一人で鳥取に来てくださったけれど、
 
私も一人で横浜に出掛けるだけの気力、勇気を身につけたと思った。
 
この希望も可能だという事だと考えられるようになってきた。
 
今年も10月4日から7日にかけて細井道子さんが来てくださる。
 
昨年とは違う状況にも関わらず、遠い鳥取までやってくる貴女に
 
私自身たじろぎを覚えるのです。
 
次から次と障害物を越えるたびに、見方が変わり、
 
考え方も変わり、障害者もまんざら悪くないと思っている昨今なのです。
 
 
 
 
 
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小柴 千鶴

えがお株式会社代表取締役、NPO法人夢ハウス理事長。 27歳のとき進行性筋ジストロフィー発症との診断を受ける。 さまざまな困難を乗り越えながら「ITであれば障害者でも仕事ができる」と思いたち「小規模作業所夢ハウス」をスタート。

  1. 介護とは

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